湯治

日本列島に冬将軍が襲来する季節となりました。

厳しい寒さが続く季節となる変わり目、体調を崩したり、古傷が痛み出したりする方もいることでしょう。

その治療法のひとつとして、古来から日本には湯治があります。

湯治の歴史は古く、奈良時代の「日本書紀」や「出雲風土記」に温泉医療の記述があり、当時は権力者など一部の上流階級の方々が行っておりました。鎌倉時代には温泉奉行が置かれ、戦傷者の治癒に使われ、江戸時代に入ると庶民へと浸透し、農閑期になると温泉地に長期滞在し保養をしていました。

温泉地での治療には温泉薬効はもちろんのこと、その地での養生、出会いや現地の人のぬくもり、地のものや地酒と付帯的なものも治療になります。これは薬物治療の西洋医学とは違う、心身一如で健康を考える日本固有の伝統文化、生活習慣です。

火山国である日本は噴火などの災害に見舞われてきましたが、温泉という恵みもありました。

ちなみに、日本には全国各地に温泉神社がありますが、祀られている神様は、少彦名命になっています。少彦名命は、薬の神様でもあります。

湯治とは古くより自然と共生してきた日本らしい智慧のひとつなのです。

(髙野 修一)